3747 インタートレード 分析

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赤字決算でも未来は明るい?金融IT企業インタートレードの決算から読み解く、3つの意外な一手

Introduction: A Deeper Look Beyond the Numbers

2025年9月期の決算を発表した金融IT企業、株式会社インタートレード。連結営業損失8百万円、最終的な親会社株主に帰属する当期純損失は1億4,500万円。この「赤字決算」というヘッドラインだけを見れば、多くの市場関係者は厳しい評価を下すかもしれない。

しかし、その数字の裏側を精査すると、単なる業績不振とは全く異なる、意図的かつ大胆な未来への布石が見えてくる。赤字という結果は、未来の成長のために現在を選んだ、戦略的な「痛み」の証左なのだ。

本記事では、インタートレードの最新決算から読み解くべき、最も意外で示唆に富んだ3つのポイントを深掘りする。そこから浮かび上がるのは、公式サイトでも謳われる「チャレンジャースピリッツ」を体現し、予想外の新領域へと果敢に挑む企業の真の姿である。

1. 赤字の主因は、未来の金融「Web3」への巨大投資

今回の連結純損失1億4,500万円という数字の最大の要因は、本業の不振ではなかった。決算資料が指し示す真因は、関連会社である株式会社デジタルアセットマーケッツと株式会社AndGoからもたらされた「持分法による投資損失」(関連会社の赤字が連結決算に反映される会計処理)2億300万円である。

ただし、話はそれほど単純ではない。同社は一方で、デジタルアセットマーケッツの株主割当増資に伴う「持分変動利益」として63百万円を計上している。この2億300万円の損失と63百万円の利益という数字の綱引きこそが、今回の赤字決算の核心だ。これらの関連会社は、次世代インターネット「Web3」やデジタル資産という、まさに未来の金融インフラを担う領域で事業を展開している。つまり、インタートレードの赤字は、短期的な収益を犠牲にしてでも、長期的な成長エンジンへ戦略的に投資した直接的な結果なのだ。

この野心的な戦略の背景には、同社の確固たる未来予測がある。

世界が目指す第四次産業となるデジタル(DX)領域は、2030年位から、今までとは異なる暗号分散型のダイレクト処理が主流になる。

これは単なるハイリスク・ハイリターン戦略ではない。伝統的な金融ITベンダーが何もしなければ、Web3という新たな潮流によって自らがディスラプト(破壊)されかねないという危機感の表れだ。この先行投資は、将来の市場を確保するための、計算された、しかし痛みを伴う「未来への保険」に他ならない。これこそが、同社のチャレンジャースピリッツの最も明確な発露と言えるだろう。

2. 金融IT企業が、なぜか「フェムテック」市場に参入?

インタートレードの事業セグメントの中で、最も異彩を放つのが「ヘルスケア事業」だ。金融システムのプロ集団が、畑違いも甚だしいこの分野で、「ハナビラタケ」という機能性きのこを活用した健康食品や化粧品の開発・販売を行っている。

そして今期、この一見不思議な事業が大きな前進を遂げた。2025年3月、新製品「エストロリッチピュア」が、消費者庁から「機能性表示食品」としての届出を受理されたのだ。認められた機能は「中高年期の健常な女性の日常生活における一時的な疲労感(疲れやすさ)を軽減する」という、具体的で訴求力の高いものだ。

この公的な「お墨付き」を武器に、同社は急成長する「フェムテック/フェムケア」市場へ本格的に乗り出す。2026年9月までには、全国約5,000店のドラッグストアへの導入を目指すという野心的な目標を掲げている。調査によれば、関連市場は顕在ベースで約500億円、潜在的には約250億円(前年比33%増)という高い成長性が見込まれる。

この動きは、単なる実験的な多角化ではない。変動の激しいBtoBの金融IT事業への依存を軽減し、高成長が見込めるBtoCのコンシューマー市場で新たな収益の柱を確立しようとする、計算された戦略的ピボットである。これもまた、金融という枠組みを自ら超えていこうとする、同社のチャレンジャー精神の広がりを示す好例だ。

3. 主力事業も盤石ではない?収益構造の静かな変化

最後に、同社の屋台骨である「金融ソリューション事業」に目を向ける。連結売上高18億3,600万円のうち14億7,300万円(全体の約80%)を稼ぎ出す最大の収益源だ。

数字を見ると、この事業の売上高は前年同期比102.0%と微増しており、一見すると安定している。しかし、その内実を映すセグメント利益は、前年同期比94.4%と減少しているのだ。決算短信はその理由を「粗利率の高いライセンス利用料が減少し、粗利率の低いハードウェア売上が増加したことが主な要因」と明確に記している。

売上の「量」は維持しつつも、その「質」が変化し、収益性が低下している。これは、同社のキャッシュカウ(金のなる木)である主力事業の収益力に対する、明確なリスクシグナルである。この本業におけるマージン圧力は、前述したWeb3やヘルスケアといったハイリスクな賭けを、より一層「必要不可欠」なものにすると同時に、それを支える原資が揺らぎかねないという点で「危険」なものにもする。この構造的課題こそ、投資家が最も注視すべきポイントだ。

A Challenger’s Gamble on the Future

インタートレードの2025年9月期決算は、表面的な赤字という数字の裏で、戦略的な未来への投資と大胆な多角化が同時進行する、複雑な物語を内包していた。Web3への先行投資で意図的に赤字を計上し、傍らでは金融とは全く異なるフェムテック市場への進出を着々と進め、そして主力事業では収益構造の変化という静かな課題に直面している。

同社自身はこの挑戦に強い自信を示しており、来期(2026年9月期)には売上高21億円、営業利益1億円、そして純利益80百万円と、V字回復を果たす業績予想を発表している。これは、今期の投資が来期以降に実を結ぶという確信の表れだろう。

短期的な利益を犠牲にしてでも未来の大きな可能性に賭けるインタートレード。この大胆な挑戦は、変化の激しい時代を生き抜くための一つの答えなのでしょうか。あなたの意見もぜひ聞かせてください。

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