先月に引き続き、幸田真音さんの経済小説を2冊読み終えた。
タックス・シェルターでは最後の解説が竹中平蔵でした。確かにリアリティーあります。
SPC(特別目的会社)をケイマン諸島(租税回避地)へ設立、香港で秘密口座を開設し、その口座から特殊なクレジットカードの引き落としがされるといったことが道具としてストーリが描かれる。主人公が独立系証券会社の財務担当ということで、それほどトレーダーとして、タックス・ヘイブンを利用した節税の知識がないため、いろいろ主人公にそれらを説明をするシーンが多い、そのため読者にもわかりやすく説明がされる。
主人公が好意をもつ国税局の女性おり、脱税を見抜くプロセス、膨大な書類からおかしなところを見抜くシーンはドキドキする。
またお役所組織で男社会の国税局で、女性が働くことの苦労、社会から目の敵にされる辛さなどリアルに感じる。
ただ結末は、悪銭身につかずといった終わり方なので、もう少しひねってほしかった。
この小説はフィクションですが、リーマンブラザーズ、村上ファンド、エイベックス、ドンキホーテあたりを想像させる会社をもとにストーリーが描かれている。その他ライブドアに似た会社などもでてくる。主人公は外資系証券会社に勤めるホール担当の女性(広田美潮)です。この広田美潮の家庭環境は、幼少期に父親に捨てられ、その父親への復習近い感情を原動力にしてバリバリ仕事をし、TOBの要を担う。
エイベックスぽい会社へ3社がTOBをかけるところがメインの話で、投資ファンド、証券会社、TOBをされた会社で働く人物の行動、感情が終盤にいくにつれめまぐるしく変化していく。実際にあった話に近いこともあり結末が見えているし、まったく同じではないが、その方向で終わったので結末ではなく、結末いたるそれぞれの心情を楽しんでほしい。
個人的に村上ファンドは当時大好きだったので、この小説にでてくる相馬明顕良は結構好き。